冬咲き桜物語 フユサキザクラモノガタリ

 

芽、物語はここから始まる

ある日のことじゃった。

それぞれ異なる場所で新たな生命が母親という腹の中でひそかに誕生したのじゃ。

その中の四つの生命は人間であった。

神道の話で基づけば、各それぞれに四魂―――つまり一般的に言う魂が宿ると思われた。

が、しかし、何の悲劇かわからんが四つの生命に対して魂は一つしか存在しなかったのじゃ。

では残りの三つの生命は魂を貰えずに死んだというのか?

いやいや、一瞬でも生を受けるということは魂を肉体に受けるということ。

それではさきほどの言葉に矛盾が出来てしまう。

生を受けてもいないなら、死という言葉は使えん。

では一体なんだというと、それはそれは異例中の異例とも呼べる話でな。

まぁ続きはこの四人の人間たちが生まれて#゙らの物語が進めばわかることじゃ。

そう焦らずゆっくり待っていなされ。

ん?ワシは誰かって?

名乗るほどのものでもない。そうじゃな、この物語の語り部とでも言っておくか。

おお、もう時間じゃ。

まぁまたあうじゃろうて。

ではそれまでしばし。

 

=蕾へ=